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ディジタル移動通信
Theodore S. Rappaport 著
山本 平一 他訳
小牧 省三 他訳
16,000円
A5 752頁
4-87653-059-9 C3055
第1章 無線システム入門

 移動通信システムの基本事項と概要を理解するため,先ず,技術的な発展経緯を振り返り,課題とその解決の歴史,および政府のかかわりを解説している.次に,北米,欧州,日本における移動通信の進展と現状,各国の事情などを紹介している.無線呼び出し,コードレスおよびセルラー(携帯電話)の各システムについて,技術の概要とシステムの構成,接続の仕組を述べながらその差異を議論している.

ここでは移動無線システムの基本的な用語も説明されている.特にセルラーについては,接続制御の仕組がよく理解できるように,各装置の役割と接続の手順が詳述されている.また,リモコンなどの身近な無線システムを例として取り上げて,移動通信システムと比較し,機能やサービスエリア,装置構成の規模,コスト等の考え方の違いを明確にしている.

最後に,近年のパーソナル通信や次世代システムIMT-2000の技術動向についても述べられている.


第2章 セルラー方式の概念と方式構成の基礎

 本章ではセルラー方式の基本技術のうち、もっとも大切なセル配置ならびに加入者容量について記述している。この章は、初心者にとってセル構成の基本概念を知る上で必須のものである。同時に、セルラー方式に新規参入をする場合の適否を技術的・経済原則の内容に照らし合わせて定量的に判断できるような例題も含まれており、ベテランのセルラー方式技術者にとっても示唆に富む内容になっている。

本章では同一チャネル干渉を考慮した地理的なチャネル割当から始まり、ハンドオーバ制御、加入者容量、隣接チャネル干渉、送信電力制御による干渉低減と加入者容量の増大を基礎的に平明に解説している。また、周波数割当とセル構成法に強く関係しているトランキング効率についてトラヒック理論を用いた説明を行い、チャネル割当とサービス品質の関係を論じている。最後に、セルラー方式の加入者容量を増大する技術であるセル分割、セクタ化、ゾーンマイクロセル方式等を紹介し、送信電力低減、トランキング効率、周波数利用効率に関する定量的な説明を行っている。


第3章 移動通信の電波伝搬:長区間の伝搬損

 電波伝搬は移動通信システムに根本的な制限を与えるが,伝搬特性のうち,本章ではエリア内の大局的な受信レベル推定に必要な伝搬損の距離特性を各種のモデルを紹介して説明している.始めに基礎となる自由空間での電力伝達式を解説し,伝搬現象の要因となる反射,回折および散乱について,2波モデル,フレネルゾーンやナイフエッジモデルの理論的な取り扱いを具体例をあげて詳述している.


さらに,回線設計例としてこれらのモデルを適用し,サービスエリアの確率的な扱い方が理解できるように配慮されている.次に,実験により得られ,実際の回線設計でも使用されている各種の伝搬モデルを紹介している.屋外伝搬モデルでは奥村モデルをはじめ,近年PCS等で重要になっているマイクロセルに対する推定法を含めて数種類のモデルが解説されている.屋内伝搬では特性推定法の高精度化は困難であるが,特に問題となる各種間仕切り材料の損失について豊富な実測データを示して解説されている.対数距離伝搬損モデルや減衰係数モデルなど,ビル内の異なる階数間での伝搬損を与える数式モデルも示されている.屋外および屋内について,種々の周波数や伝搬環境についての豊富な実測データが利用価値を高めている.

さらに,読者がパソコンで簡単に伝搬損を計算できるような推定式を与える工夫がなされている.


第4章 移動通信の電波伝搬

短区間フェージングと多重波伝搬

 本章では,移動通信の特性を支配する短時間あるいは短区間における多重波によるフェージングを扱っている.フェージングを生じる要因やドップラーシフトを解説した後,インパルス応答により多重波伝搬路の数学的取り扱いに必要な数式表現を与え,帯域幅と受信電力の関係を議論している.また,多重波伝搬路の特性を測定する方法として,パルス,スペクトル拡散の相関,および周波数領域による方法を具体的に説明し,それぞれの得失を比較している.無線チャネルを特徴づけるパラメータとして,平均遅延時間や遅延スプレッド,コヒーレンス帯域幅とコヒーレンス時間の概念と,それらの間の関係,および伝送信号との関係が解説されている.また,これらの概念を用いて,高速や低速,フラットや選択性など,フェージングを分類することにより伝搬特性への理解が深められる.伝搬推定に不可欠な確率的扱いではレイリーとライスフェージングを解説し,ドップラー効果によるスペクトルの広がりを理論的に述べている.また,フェージングシミュレータの回路動作も解説されている.フェージングの一般的モデルとしては,2波モデルや屋内におけるクラスターモデルの他,著者らが開発した屋外および屋内の実際の場所に対応できる計算機シミュレーションによる伝搬推定法が詳しく解説されている.


第5章 移動通信の変調技術

 本章は移動通信で使われる様々な変復調技術について、特徴、回路構成、スペクトル特性、ビット誤り率特性等、設計上必要となる方式要求条件間のトレードオフを含めて網羅的に解説している。

まず、第一世代移動通信方式で使われたアナログ変復調方式、特にFM方式についてAM方式との比較を通して諸特性を明らかにしている。引き続き、第二世代移動通信方式で使われているディジタル変復調方式について、電力利用効率と帯域利用効率の観点から変調方式を決定する際の判断基準を述べている。

また、電力利用効率を向上させるための変調方式として、FSK, MSK, GMSK等の定包絡線変調方式について諸特性を詳述し、帯域利用効率を向上させる変調方式として、PSKの種々の形態及びQAM等の線形変調方式についてフィルタ系を考慮して詳述している。最後に置かれた2つの節では、スペクトル拡散技術とフェージング伝搬路における信号伝送特性が述べられている。


第6章 等化、ダイバーシチ、チャネル符号化

 移動通信の伝搬路は、マルチパスフェージングやドップラースプレッドにより動的に変動し、信号のビット誤り率に悪影響を及ぼす。本章は信号品質の劣化に対処するため、適応等化器、各種ダイバーシチ及びチャネル符号化技術について広範囲に渡り解説している。適応等化器では、線形等化器と非線形等化器について特徴や動作原理、及びそれらの回路構造について述べている。また、誤差の2乗平均値を評価関数とする各種の適応アルゴリズムを示し、それらの長所・短所を比較している。ダイバーシチ技術では、空間ダイバーシチにおける各種ブランチ合成法とそれにより得られる効果を述べ、その他偏波、周波数、時間ダイバーシチについても言及している。特に時間ダイバーシチはCDMAのRAKE受信機への応用として述べられている。チャネル符号化技術は、ブロック符号と畳み込み符号の基本的な特性を述べると共に、符号化と変調を有機的に結合したトレリス符号化変調についても補足している。


第7章 音声符号化

 移動通信システムでは、音声トラヒックに対する帯域利用効率を向上させるため、高能率な音声符号化技術が必要となる。本章は、音声符号化で使われる各種の信号処理技術を具体例を用いて解説している。まづ音声の特徴を述べ、それを基に各種の量子化技術を示して基本的な帯域圧縮の手法を明らかにしている。次に、音声符号化技術として、ADPCMに代表される波形符号化方式とボコーダ系に代表されるスペクトル符号化方式を詳説し、低減できるビットレートについて考察している。また、波形符号化とスペクトル符号化の長所を取り入れて、比較的低ビットレートで高品質な符号化音声を実現できるハイブリッド符号化方式についても具体例を用いて解説している。最後に、GSMやUSDC等の移動通信で使われている音声コーデックについて、それらのブロック構成及び特性を述べている。また、移動通信用音声コーデックの選択基準と特性評価法を合わせて示している。


第8章 多元接続技術

 無線チャネルを多くのユーザで共用するための方法である多元接続方式について、周波数分割多元接続(FDMA)、時分割多元接続(TDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、空間分割多元接続(SDMA)に分類し、それぞれについて特徴と各種の特性を述べている。

現在、もっとも関心の高いCDMA方式や将来必要となるSDMA方式についてもページ数を裂いて詳細に記述がなされている。これらの技術の紹介のみならず、各種の方式で得られる加入者容量について定量的な比較方法が示されており、章末には、現在、各国で使用されている方式に関する比較結果を示している。

本章では、周波数分割多元接続(FDMA)の混変調歪、無線チャネル周波数配置、また、時分割多元接続 (TDMA)のフレーム利用効率、ユーザチャネル数と効率を述べ、スペクトル拡散多元接続については、周波数ホッピング、符号分割方式、さらに他の多元接続と組み合わせたハイブリッド方式について述べている。


第9章 移動通信ネットワ−ク

 移動通信の急速な進展と多彩なサービスの実現に対し、移動端末と並んで移動通信ネットワークいわゆる移動交換方式の果たす役目が大きく、最新の重要な研究項目になっている。全ての技術者にとって、移動通信の全体像を理解する上で、この章を読むことが必須となろう。

本章では、第一世代から第三世代までの各世代における移動通交換方式を発展の歴史を追って、機能と特徴を平易に述べるとともに、固定通信網の交換方式を含め、移動通信全体の信号方式、ユーザ登録、ハンドオーバ制御、ローミング等について詳細に技術項目が述べられている。

本章では、公衆網(PSTN)、移動通信ネットワ−クの発展過程、固定網伝送ハイアラーキ、トラヒックル−ティング、 無線デ−タ通信、共通線信号方式 、ISDN、No7信号方式、セルラー事業者の相互接続、ローミング制御方式、位置登録、呼の転送、システム間ハンドオオーバ、PCS /PCNパ−ソナル通信サ−ビス、 ネットワ−クデ−タベ−ス、ユニバ−サル移動通信方式(UMTS) が取り扱われている。


第10章 各種の移動通信方式

 欧州、米国、日本の各種の移動通信方式をほぼ全て網羅し、かつ、使用されている変調方式、符号化方式、制御線信号方式の各項目に渡り詳細に記述されている。概要の把握のみならず、各種方式の諸元データ集としての価値も高く、新しい移動通信方式の設計を目指す研究開発者も、設計データを得るために、頻繁かつ長期的にこの章を参照することとなるものと思われる。

本章では、AMPSとETACSにおける呼設定、エアーインタフェース(変復調、圧縮器、プリエンファシス)、シグナリングトーン(ST)、ブランクアンドバースト信号等について詳細を述べ、狭帯域AMPS (N-AMPS) 方式について、相違点を明らかにしている。また、 合衆国ディジタルセルラー (USDC)方式の無線インターフェース、コントロールチャネル、トラヒックチャネルのフレーム構成、音声符号化、通信路符号化、インタリーブ、変調、復調、等化等を述べ米国ディジタルセパーフレーム、ハイパーフレーム、音声符号化、通信路符号化、インタリーブ、暗号化、変調、周波数ホッピング、等化、復調等の詳細を述べている。

CDMAディジタル移動通信標準 (IS-95)については、下りCDMA回線と上りCDMA回線のそれぞれに対し、 畳み込み符号器、ブロックインタリーバ、ロングコード、データスクランブラ電力制御サブチャネル、Walsh関数行列による直交符号カバーリング、直交変調等の詳細を記述している。

また、欧州のCT2 標準、 DECT、PACS、日本のPDC、PHS、米国PCS、ISM、無線ケーブルテレビ等の広範囲に渡り、方式の詳細が記述されている。
 
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