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CDMAセルラー移動通信システム
ガルグ/スモリック/ウィルクス 著
服部 武 訳
19,800円
A5 1488頁
4-87653-052-1 C3055
携帯電話、コードレス電話に代表される移動体通信は社会のニーズに応え急速な発展を遂げている。97年度における現在世界の携帯電話、自動車電話の加入数は2億加入と推定されており、成長率は地域によっては年率10数パーセントから数十パーセントに及んでいる。我が国でも3千百万加入を超え、これにPHS加入数6百万が加わり、総計3千7百万加入に達し、人口加入率で2割を超え世界の トップ10に入った。さらに、設備投資額では鉄鋼や自動車産業、化学工業と肩を並べ国レベルの基幹産業に成長をしつつある。今後、先進国から発展途上国での成長が一層見込まれる。

 この発展の背景はシステムの大容量化、経済化と共に端末の小型軽量化、経済化の技術によるのみでなく、周波数の割り当て政策、さらには複数事業者による競争、端末の製造、販売の自由化などの市場開放を始めとする規制緩和による複合的な効果といえる。この意味で移動体通信の発展はサービス、技術、政策が相互にシナジー効果をもたらした新しい産業の典型であると言える。

 移動電話のニーズは今後も続くと想定されるが、今後は音声通信に関して、固定網と同等の通信品質の提供、国際的なローミングの実現、加入容量の一層の拡大などに加え、高速移動データ通信、移動画像通信などマルチメディアサービスへの展開が重要かつ急務な課題である。これらを実現する上で、符号分割多重アクセス(CDMA)方式が最も有望として期待されている。

 本書は、CDMA方式の基礎から実際のシステムまで幅広く記述したものである。基礎的な面では、CDMAの概念とその特性を分かりやすく記述しており、また、実際のシステムとしては、米国で標準仕様となった狭帯域CDMA(IS-95)および広帯域CDMA(IS-665)について詳述している。

これらの観点から、本書は従来の概念的な書物に比べ、より実践的な側面を持ち、真にCDMAを理解する上で非常に有意義な書物である。専門家はもとより、携帯電話を運用する管理者、経営者にも座右の書物とすべき内容を包含している。さらに、大学の上級クラスにおける教科書としても使用する価値のある書である。


本書の具体的内容を各章ごとに以下に示す。

 第1章は移動通信システムの展開とCDMA技術の基礎に関して述べている。
 移動通信の市場動向、デジタル技術の事業展開への役割、ネットワークの要素を述べた上、3つのアクセス技術の基礎的紹介とCDMAの有意性を示している。

 第2章は拡散スペクトラム方式に関しして直接拡散方式と周波数ホッピング方式の原理を示した後、伝送理論からの基礎的特性を述べている。さらに、CDMA方式の具体的特性と拡散符号の発生法およびIS-95無線方式概要を述べている。

 第3章はCDMAの標準化に関する考えかたおよび全体の概要である。米国電気通信工業界(ITA)での標準化での背景を述べた後、IS-95方式に関し、レイヤ構成の概念、移動機および基地局における発信、着信、待ち受け状態等の呼制御、サービスおよびネットワーク記述をのべ、更に広帯域CDMAの標準化について触れている。

 第4章はシステムアーキテクチャである。セルラー標準の検討グループTR-45とTR-46での検討の枠組み、システム全体の参照モデル、各インタフェースの機能の全体を述べた後、MSC-BS間の標準仕様、アーキテクチャ構成、呼制御信号方式、移動管理、サービス種別とその内容に関して述べている。

 第5章はCDMAの物理レイヤである。IS-95CDMAのみでなく、W-CDMAに関して述べている。W-CDMAは1.9GHz帯を用いたPCSの1つの標準仕様であり、J-STD-015(とIS-665)と呼ばれている。OSIモデルに基づく全体のレイヤ構成を述べた後、CDMAおよびW-CDMAの下り回線、上り回線の伝送方式と構成、周波数割り当てと変動許容度、送信電力制御、変調パラメータ、拡散直交符号に関して述べている。

 第6章はネットワークとデータリンクレイヤに関する記述である。本章でもCDMAとW-CDMA に関して述べている。下り回線に関しては同期チャネル、ページングチャネル、通信チャネルについて、また上り回線に関しては、アクセスチャネルと通信チャネルについて述べている。

 第7章はCDMAに関する信号方式である。米国のセルラーの信号方式はIS-41およびIS-104(付加サービス)として標準化されており、CDMAに関してもこれに沿った内容と成っている。エンドツーエンドの動作として、基本サービスとその内容、発信、着信、終話、ローミング、付加サービス、ハンドオフ等である。

 第8章は音声符号化である。CDMAは8kbpsまたは13.2kbpsの音声符号化データレートであり、W-CDMAは32kbpsまたは64kbpsのデータレートである。まず、基本となるパルス符号化(PCM)について述べた後、適応差分パルス符号化(ADPCM)、符号励起線形予測符号化(CELP)の3つの方式について述べている。特に、CELPに関して詳述している。

 第9章は無線システム設計に関する記述である。伝搬モデル、回線設計(リンクバジェット)、アナログからデジタルへの移行、設備設計、無線回線の容量および2つのサービスエリア境界におけるセル設計である。伝搬モデルは屋外に関しては秦-奥村モデルの他、Walfsh-池上モデルの2つの特性とその比較を述べている。また、屋内のモデルに関しても具体的測定を述べている。これらをベースに下りおよび上りの回線設計を具体例を持って計算を示している。アナログからデジルへの移行に関しては、アナログとデジタルのオーバレイによる各々の独立なシステムモデル、両者を全エリアに提供する完全な統合システムモデルおよびCDMAを全エリアに、アナログを部分的に適用する部分統合モデルの3つの運用に関して述べている。無線回線容量に関しては、2つの基地局を想定してソフト及びハードハンドオフにおける処理能力を述べている。

 第10章は広域ワイヤレスデータと高速ワイヤレスローカルネットワーク(WLAN)に関して述べている。まず、広域システムとして既に提供されている3つの専用無線パケットシステムおよびアナログセルラーとシステム共用するCDPDに関しての概要と特徴を述べている。次にWLANとして米国の標準であるIEEE802.11および欧州の標準であるHIPERLANについて述べている。 次に、CMDAのデータ通信としてIS-99、IS-637およびIS-657の3つの標準について述べている。

 第11章はCDMAのネットワーク管理である。複数事業者、既存システム、サービス提供者等を含めたPCSネットワークの管理のねらい、要求条件を述べた後、通信ネットワーク管理の構成、機能、インタフェース、サービス規定、顧客管理、課金等について述べている。

 第12章はシステム間の相互接続である。種々の異なるシステム間の相互接続の課題、デュアルモード技術内容を述べた後、セルラー/PCSとAMPS間のデュアルモードシステムに関して議論している。国際標準組織で議論されているワイヤレスインテリジェントネットワーキングについて本章の最後に解説を行っている。

 第13章はワイヤレス通信システムにおけるCDMA 技術の今後の展開に関しての記述である。特に本章では無線に関する高度化技術について述べている。まず、音声品質の一層の向上技術について述べたのち、干渉消去、多重ビームアンテナ、ハンドオフアルゴリズムの高度化について述べている。

 以上が本書の主要内容である。以下は、本書の「目次」である:

1.符号分割多重アクセス技術の基礎
1.1 はじめに
1.2 ワイヤレス通信の展開
1.3 ワイヤレス通信の市場動向
1.4 ワイヤレス通信のデジタル技術の必要性
1.5 ワイヤレスネットワークの要素
1.6 デジタル技術
1.7 拡散スペクトラム技術
1.8 まとめ
1.9 参考文献

2.拡散スペクトルシステム
2.1 はじめに
2.2. 拡散スペクトラム(SS)に用いる技術分類
2.3 拡散スペクトラムの概念
2.4 拡散スペクトラムの特性
 2.4.1 直接拡散スペクトラム
 2.4.2 同期2値位相シフトキーイング
 2.4.3 4値位相シフトキーイング
2.5 符号分割多重アクセスシステムの特性
2.6 疑似雑音系列
 2.6.1 疑似雑音M系列の特性
 2.6.2 自己相関
 2.6.3 相互相関
 2.6.4 直交関数
2.7 スプレッドスペクトラム技術
2.8 まとめ
2.9 参考文献

3.CDMA標準
3.1 はじめに
3.2 背景
3.3 レイヤ概念
3.4 呼制御
 3.4.1 移動機の初期状態
 3.4.2 移動機のアイドル状態
 3.4.3 ソステムアクセス状態
 3.4.4 通信トラヒックチャネル状態における移動機の制御
 3.4.5 基地局の呼制御状態
3.5 サービス構成とネゴシエーション
3.6 (位置)登録
3.7 広帯域CDMAの標準化
3.8 まとめ
3.9 参考文献

4.ワイヤレス通信システムのアーキテクチャ
4.1 はじめに
 4.1.1 TR-45/TR-46の参照モデル
 4.1.2 参照モデルの要素
4.2 MSC-BSインタフェースの標準化
 4.2.1 アーキテキヤ構成
 4.2.2 呼制御と付帯サービス
 4.2.3 無線リソース管理
 4.2.4 移動管理
 4.2.5 伝送機能管理
4.3 サービス
 4.3.1 基本サービス
 4.3.2 付帯サービス
4.4 まとめ
4.5 参考文献

5.CDMAの物理レイヤ
5.1 はじめに
5.2 開放システムの相互接続参照モデル
5.3 フォワードCDMAチャネルとW-CDMAチャネル
 5.3.1 パイロットチャネル
 5.3.2 同期チャネル
 5.3.3 フォワードページングチャネル
 5.3.4 フォワードトラヒックチャネル
 5.3.5 変調器
5.4 リバースCDMAチャネル
 5.4.1 リバースアクセスチャネル
 5.4.2 リバーストラヒックチャネル
 5.4.3 リバースチャネル変調器
5.5 チャネル間隔と周波数許容偏差
5.6 CDMAにおける送信電力制御
5.7 変調パラメータ
 5.7.1 畳み込み符号化
 5.7.2 ビット同期
 5.7.3 ブロックインタリーブ
 5.7.4 ランダム化
 5.7.5 直交符号
 5.7.6 64アレイ直交変調
 5.7.7 長周期符号
 5.7.8 直接PN拡散
 5.7.9 ベースバンドフィルタリング
 5.7.10 CDMA信号の同期
5.8 まとめ
5.9 参考文献

6.CDMAのネットワークとデータリンクレーヤ
6.1 はじめに
6.2 フォワードCDMAチャネル
 6.2.1 同期チャネル
 6.2.2 ページングチャネル
 6.2.3 通信チャネル
6.3 リバースCDMAチャネル
 6.3.1 リバースアクセスチャネル
 6.2.3 通信チャネル
6.4 フォワードW-CDMAチャネル
 6.4.1 レイヤー対レイヤ接続
 6.4.2 同期チャネル
 6.4.3 ペジングチャネル
 6.4.4 通信チャネル
6.5 まとめ
6.6 参考文献

7.CDMAシステムの信号方式
7.1 はじめに
7.2 ワイヤレスシステムのエンドツーエント動作
 7.2.1 基本サービス
 7.2.2 ユニークなチャレンジ
 7.2.3 付帯サービス
 7.2.4 ハンドオフ

7.3 まとめ
7.4 参考文献

8.CDMAシステムの音声符号化
8.1 はじめに
8.2 音声符号化
 8.2.1 パスル符号変調
 8.2.2 適応差分パルス符号変調
 8.2.3 符号励振線形予測
8.3 まとめ
8.4 参考文献

9.RF設計と機能設計
9.1 はじめに
9.2 セルラー/PCSネットワークの無線設計
 9.2.1 無線回線設計
 9.2.2 カバリッジ計画
9.3 伝搬モデル
 9.3.1 屋外環境のモデル化
 9.3.2 屋内環境のモデル化
9.4 リンク設計
 9.4.1 フォーワードリンク設計
 9.4.2 リバーースリンク設計
9.5 デユアルモードCDMA移動
9.6 アナログシステムからデジタルシステムへの移行
 9.6.1 オーバレイ設計
 9.6.2 統合設計
 9.6.3 部分的CDMAの適用と統合システム
9.7 機能設計
9.8 フォーワード無線チャネルの容量
9.9 CDMAシステムの境界領域における考慮すべき設計課題
9.10 まとめ
9.11 参考文献

10. ワイヤレスデータ
10.1 はじめに
10.2 ワイヤレスデータシステム
 10.2.1 広域ワイヤレスデータシステム
 10.2.2 高速ワイヤレスローカルエリアネトワーク
10.3 WLAN 標準化
 10.3.1 IEEE 802.11
 10.3.2 ワイヤレス情報ネットワークフォーラム
 10.3.3 高特性無線ローカルエリアネットワーク(ハイパーラン)
 10.3.4 ARPA
10.4 アクセス方式
 10.4.1 固定割り当てアクセス方式
 10.4.2 ランダムアクセス方式
10.5 誤り制御方式

 
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